いま、ミレニアル世代の起業家たちは、あえてM&Aという選択をし、エグジット(イグジット・会社売却)をしているのだ。
連続起業家(シリアルアントレプレナー)は、会社売却後にリタイアするのではなく、より大きな挑戦に立ち向かい、起業を繰り返す。
アメリカでは、この連続起業家が、ベンチャー業界を活性化する存在として注目されている。
「起業家は起業の専門家であって、必ずしも経営のプロではない」という考えが浸透しつつあるからだ。
近年、日本でもこのような連続起業家が続々と誕生している。
そして、日本のベンチャーエコシステム(生態系)を創造する役割を担うようになっている。
M&Aエグジットは、これからの起業家にとって人生戦略の選択肢の一つになる。
ベンチャー起業家が次に目指すのは連続起業家だ。
和家 智也(わけ・ともや)
早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役 CEO
大学卒業後、SBSホールディングスに入社。IT関連の新規事業開発に従事し、同社の急成長と株式上場までの過程を経験。2006年、IT・ネット専門のM&Aマッチング事業(サイトレード)を運営する株式会社ゼスタスを設立し代表取締役に就任。2014年、WEBサイトのM&Aアドバイザーをネットワークする一般社団法人日本サイトM&A協会を設立し代表理事に就任。
2017年、ベンチャー企業専門のM&A仲介会社である早稲田M&Aパートナーズ株式会社を早稲田大学ビジネススクールの同期生と設立し代表取締役CEOに就任。同年、MBA研究論文が第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞受賞。M&A仲介成約総件数107件(2006年7月から2019年2月まで)。筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修了(MBA)。
第1章
「連続起業家」の実像
第2章
なぜ、ベンチャーのM&Aエグジットが盛り上がっているのか?
第3章
会社を売るか続けるか? 決断のための4つの視点
第4章
エグジットする! と決めたなら
第5章
会社を売るまでの流れ
第6章
会社を「高く」売る!
第7章
エグジット成功のカギを握るM&Aアドバイザー選び
ブックファースト新宿店
丸善丸の内本店
紀伊國屋書店新宿本店
八重洲ブックセンター
有隣堂アトレ恵比寿店
早稲田大学ビジネススクール
西山 茂 教授
連続起業家
中野 潤 社長
連続起業家
上條 亮太 社長
株式会社いかしあい隊
白根 斉一 社長
株式会社文化社
近藤 浩史 社長
出版記念トークイベント
上條 亮太 社長
日刊工業新聞
2019年6月24日版
何度目かの起業ブームが日本で起こっている。ユニコーンと呼ばれる大成功をおさめる起業家がアメリカで続々と生まれているが、日本でもディー・エヌ・エーなどに代表されるベンチャーの成功に刺激を受けてだろう。
アメリカでは当たり前かも知れないが、日本においても新しい流れが生まれつつある。それがエグジットだ。
自分の会社をどこかに売却することを指す。大事に育てた会社を金で売り飛ばすのか?とか従業員はどうなるのか?等々において心情的・法律的な課題はもちろんある。
会社がある程度大きくなると競合が増えたり、経営者が別なことをやりたくなったりと、大きくなればなるなりの新しい壁が生まれる。それらを乗り越える有効な手段と考えられている。
もちろん素人だけでは難しい。本書はそういう人を対象にした入門書だ。難しい記述はない。いいアドバイザーを見つけるための質問も用意されており便利だ。
コンパクトにまとめているので手元に一冊あると重宝しそうだ。
※書評全文:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」
起業家は会社を立ち上げ、事業を拡大し、成長させる人のこと。これを何度も繰り返す人を継続的起業家=「シリアルアントプレナー」という。
新しいことに飛びついて、それを事業としてモノにできる人というと、僕は江戸時代の平賀源内とか、明治維新の渋沢栄一などをイメージする。事業を立ち上げ、手塩にかけて軌道に乗せた人が、それを手放す動機にはどういうものがあるのか?
エグジットをした起業家の手にはお金の他に、時間が手に入る。そして事業を手放しても、その事業を起こして成功に導いた経験値という財産が残る。人生は一度切りでも、社長人生(起業人生)はそうではない。
こういう人物が数多く輩出され、実績が積み上がることで、日本全体が活性化してゆくと思う。同時に、人生100年時代を迎え、一人の人間がひとつの企業で、一生アクティブな期間を拘束される時代が終わりつつあるのだとも思う。
こうした新たな価値観を頭に入れて、後半のM&Aの実務に関する部分を読めば、よりスキームが頭に入りやすいと思う。
※書評全文:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」